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八ヶ岳連峰登山報告書
(防府山の会12月例会)                                           200615

○日程    

 20051230日(金)〜200612日(月)

○山行形態 

 赤岳鉱泉をベース(小屋泊まり)にして赤岳や中山尾根の登山

○交通機関 

 マイカー

○参加者   

 T.F(CL)、K.N(SL)、T.A(会計・写真)、N.U(記録・写真)

○アプローチ  

 〈行き 12/30

 事務所---山口南IC---小谷SA---三木SA---虎渓山PA---諏訪湖SA---諏訪南IC---太陽館
  23:00     0:00        1:48        4:16           7:30            9:34           10:06          10:24

 〈帰り 1/2

  太陽館--諏訪南IC--内津峠PA--桂川PA--福石PA---小谷SA---富海PA---防府東IC---事務所
  11:00   12:45      14:26         16:33      18:22      20:14      21:48       21:58     22:05

○コース

12/31 太陽館・・・・・・・・美濃戸山荘・・・・・・・・発電小屋・・・・・・・赤岳鉱泉()
        10:26^10:51      12:08^12:31       13:15^13:25        14:24

1/1   赤岳鉱泉・・・行者小屋・・・取付・・・(赤岳主稜)・・・赤岳山頂小屋・・(地蔵尾根)・・行者小屋・・赤岳鉱泉()
            7:20        8:00^8:20     9:19                     14:06^14:30             15:35^15:40    16:07

  1/2 中山尾根⇒天候悪化により中止、宿泊予定の太陽館はキャンセル)

○共同装備

ザイル(T.F)、コンロ(T.A)、ガスボンベ(T.A)、救急薬(U.N)、コッヘル(T.A)、携帯電話(K.N)

○山行記録
 12/31(土)晴れ
  太陽館〜美濃戸山荘〜発電小屋〜赤岳鉱泉まで、約3時間半の緩やかな登り。キュッキュッと雪を鳴らしながら、静かな樹林帯を歩くのも冬山の魅力。赤岳鉱泉に14:24到着、贅沢な個室を確保し、夕食はローストビーフが美味しい。夕食後は恒例のビンゴゲームに大盛り上がりだった。が、我々四人は参加賞だけ・・・残〜念

1/1(日)快晴
   6時に朝食をしっかり食べ、赤岳鉱泉を7:20出発。途中、行者小屋で登攀用具を身に着け文三郎道へ向かう。約1時間急登を喘ぎながら登ると、右に阿弥陀岳が朝日に輝いて美しい。左前方に赤岳主稜取付のチョックストーンが見えてくる。既に先行パーティのトレースが左ルンゼについている。このトレース道は急なザレ場を横切るので慎重にトラバース(60mくらい)し、チョックストーンのビレイポイントに入る。岩門は雪が少ない時期は下を簡単にくぐっていけるが、雪が多くなると難しいチムニーになるらしい。今日は下をくぐっていけそうだ。手早くザイルをセットし、Fさんがトップ私が確保(以後Fさんがトップ確保は適時3人で)、ピッケルは邪魔になるので(私は)腰にぶら提げた(これはダメ)。岩門を抜けるとコルに出る、最後のNさんが上がってくるまで、支点を取ったピナクルに各自セルフビレイ、全員揃ったところで雪壁を右上にトラバースする。2ピッチ目は、凸岩に長スリングを廻して支点を取り、右から岩場を回りこみ、もろそうなミックス雪にザイルを伸ばす。3ピッチ目はハーケンにビレイをし、凸角の岩場を左から回りこむ。私は登攀中にザイルが引っ掛かり、手で引っ張りあげながら、ミックス状の斜面を登るはめになった。何度も来ることはないであろう赤岳主稜ルート、いつも後ろを振り返ると正面に阿弥陀岳が輝いていたのが印象的だった。4ピッチ目、5ピッチ目、6ピッチ目。7ピッチ目は核心部で、長ピッチとなったため、長ピッチに慣れていない私はテコずった。おまけにFさんの声がよく聞きとれず、ビレイの解除や、登っていくタイミングが全くわからず、しばし当惑。ようやく登るタイミングを見つけ、二番手に私が登ったのだが、上部の垂壁付近で、最初のハーケンに取り付けられたクイックドローを回収した時に、50mのザイルがほぼいっぱいになり、Fさんのコールで8の字結びを一旦外してザイルダウンをし、再度8の字結びで二番目のハーケンまで登り、狭いチムニーの所に身体をねじ込み、二つ目のクイックドローを回収し、そのまま上に体をよじって出たら、そこにビレイポイントがありFさんがいて、正直言ってホッとした。クイックドローを回収する時に、オーバー手袋を外して対応すれば良かったものが、焦って思うように指が動かず、ザイルダウンするのにどうすれば良いやら、一瞬パニックになり(短時間に感じたが)、AさんNさんから見れば相当モタついていたらしい。その後、更に数ピッチ登攀し、やや広いテラスに出た時は、横岳が水平に見え終わりに近づいたのがわかった。ミックス状の斜面を、逸る気持ちを抑えて数十m登ると稜線上の登山道に出た、赤岳山頂小屋が目の前だ!

○提案
今回のルートでは、トップで登っていくリーダーの姿が途中から見えない、あるいは、風の音で声が聞き取れないといった状況が何度かあり、その場合の意思の伝達方法をどうするか、予め決めておいた方が、よりスムースに登攀出来たと思われます。今回は幸いにも天候に恵まれ、(私が)多少もたついても問題はありませんでしたが、強風雪等で一刻を争う場合など、大切な事かと思います。また、長ピッチ時の1本ザイルを使用して多人数(今回は4人のパーティー)での、安全でスムースな登攀方法など。陶ヶ岳でのトレーニングに於いても、これらの事を踏まえて、今後のトレーニングメニューに盛り込み、またご指導いただけたら嬉しい限りです。
○個人的な感想
スリルと感動に満ちた赤岳主稜、とても良い経験をさせていただきました。岩登り自体はそんなに難しい箇所はなく(トップは別)、心配していた天候にも恵まれ、高度感も十分あり、最高に楽しむ事が出来ました。今までの山行(重荷と長時間歩行等)に比べれば、快適(天候に大きく左右)と言っていいくらいの山行でした。ただ、オーバー手袋をして、ザイルや装備の操作には思った以上にモタつき、今後に課題を残しました。
○最後に
最近では、インターネットのHP等で、事前に情報収集が出来るので、可能な限り調べて、イメージトレーニングしておくと良いでしょう。稜線では、ときおり猛烈な風が吹くので、歩行中は飛ばされないように十分注意して歩こう。また、手袋等も飛ばされないように工夫しておきましょう。私は、オーバー・インナー共に予備を持参しました。所々、ザレた斜面(雪面に軽く手をつく程度の)では、プルージック又はノーザイルで登攀しました。ザイルで8の字結びして確保した方がより安全ですが、時間・天候・技量等ケースバイケースで対応しましょう。Fリーダーは、赤岳主稜尾根を登攀中は、オーバー手袋は外してインナーだけで、終始我々をリード、ザイルをたぐる腕も疲労困憊、指先も凍傷寸前だったようです。同行していただいたAさんNさんと共にほんとうにお疲れ様でした。信頼出来る仲間に恵まれた事に大感謝です、ありがとうございました。日に予定していた中山尾根は、天候悪化により中止となりましたが、更なる精進をして次の機会にチャレンジしましょう。尚、未解説のピッチの詳細な報告は、紙面の都合により割愛させていただきました。我々のピッチの区切り方では、9ピッチぐらいではなかったでしょうか。また、赤岳主稜には、当日、我々を含めて4パーティーが入っていました。々が登攀を開始して直ぐ、二人組のパーティーが追ってきていました。トップを登ってきた方は、ダブルロープで両手にアイスアックスを持ち、なぜか終始ボヤいていました、が、これが緊張感を和らげる事にもなり、かなりの経験者のようにも見受けられました
○参考文献
 山と渓谷日本のアルパイン・ルート50選S八ヶ岳赤岳主稜、その他先達のHPより
用語の説明(参考)
 アイスアックス 氷壁登攀用の小型のピッケル、柄の部分が湾曲している。
 インナー 二重靴(高所用の登山靴)の内側の靴。ここでは二重の手袋の内側の薄手のもの。
 カラビナ バネ式(ねじ込み式)の開閉部がある金属製の輪。
 クイックドロー 2個のカラビナを短い (テープ、帯)でつないだもの。ヌンチャクとも言われる。
 クラック 割れ目。体の入らない狭い岩の裂けめ。拳、肘がはいるくらいのもの。
 ザレ 山腹の崖崩れ場所。「がれ」よりも岩塊が小さいものをいう。
 スリング テープやロープを短く切ってループ(輪)にしたもの。
 セルフビレー 自分のハーネス(安全ベルト)を確保点につなぐなどして転落を防止する措置をとること。
 チムニー 煙突状の岩の裂け目で、人体の入る大きさのもの。
 チョックストーン チムニーやクラックなどの岩の割れ目に挟まっている石。
 テラス 岩壁の途中にある、23人が休めるくらいの広さの平らな場所。
 登攀(とうはん) 険しい山や岩場を手足を使ってよじ登ること。岩や氷雪をよじ登ること。
 トラバース 横断、岩壁や氷壁で、横(水平)方向に登る(移動する)こと。
 トレース 踏み跡をたどること。先に行った人を追跡すること。
 8の字結び 結び目が数字の8の字の形になるロープの結び方。
 ハーケン ロッククライミングで、確保支点を作るために、岩の割れ目に打ち込む鉄くさび。
 ハーネス クライミングで、安全確保のために使うベルト。
 ピクナル(ピナクル) 岩稜や岩壁の上に突き出した小さい突起。確保支点などに使える。
 ピッチ クライミングでは、ひとつの確保点から次の確保点まで。ロープ1本分の長さで登る距離を1ピッチという。
 ビレイ 確保、墜落を防ぐために、ロープなどを使って安全手段を講じること。
 ビレイポイント 確保支点。確保する場所(ピッチの切れ目)
 プルージック ザイルに補助綱を結び付ける結び方のひとつ。
 ミックス 石と雪の混合状態
 ルンゼ 氷や雪で侵食された急峻な岩溝、岩ひだ。
補)用語の説明で間違い等がありましたら、管理人までご一報いただけると幸せます。
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