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この報告書は山の会に寄稿した山行報告書に加筆・修正を加えたものです。 | |
穂高連峰登山報告書 | |
(防府山の会8月例会) 2008,8,19 | |
○日程 事務所・・・・・防府東IC・・・・・小谷SA・・・・・龍野西SA・・・・・多賀SA・・・・・ ひるがの高原SA・・・・・飛騨清見IC・・・・・平湯温泉‐‐‐上高地 宝山荘別館・・・・・・飛騨清見IC・・・・・・・ひるがの高原SA・・・・・・多賀SA・・・・・・・ 8/14 上高地………明神………徳沢園…………横尾山荘…………涸沢ヒュッテ(泊) 7:55 8:40^8:45 9:44^9:55 10:52^11:43 14:20 8/15 涸沢ヒュッテ………5,6のコル………前穂高岳………奥穂高岳………穂高岳山荘(泊) 8/16 穂高岳山荘…………奥穂高岳…………天狗のコル…………天狗岳………… 間ノ岳………西穂高岳………ピラミッドピーク………独標………西穂山荘………ロープウェイ ○共同装備 ザイル、救急薬、 |
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○山行記録 8月14日(木) 横尾山荘で少し早めの昼食を摂り始めた頃から小雨が降り始め、本谷橋付近からは(時々)本降りになる。私は横着にも上着だけ雨具を着用し(蒸し暑いので・・・)、涸沢ヒュッテに着いたときには下着から靴下までびしょ濡れになっていた。乾燥室は超満杯だったが掛けれる物は全て掛け、ストーブで乾かしながら夕食まで時間をつぶしたが、その間ヒュッテの屋根を雨音が激しく叩き、ときおり雷鳴も聞こえ、テレビの天気予報を気にしながらも、明日の前穂北尾根の登攀が気になってしかたがなかった。 8月15日(金) 4時半起床、5時から朝食を済ませ6時過ぎに涸沢ヒュッテを発ち、ヒュッテの裏手から涸沢の大雪渓を右に見ながら、前穂北尾根の5,6のコル目指して登っていく。北穂も涸沢ヤリも前穂もガスに包まれ上部は見えないが、ときおり吹く風は気持ちがいい。7時半5,6のコルに着く。ガスの切れ間に5峰が見える。右側は低い潅木、左側はスパッと切れ落ちているようだ。ガスの中5峰、4峰と登攀し、9時過ぎに3,4のコル、ここで登攀用具を身につける。これより前穂北尾根の核心部である3峰の登り、先行するパーティを見送った後、Fリーダーを先頭にザイルを繰り出し、順に我々3人も後に続く。3峰の登りで合計4ピッチを刻み登攀を繰り返し、最後の2峰の下りでザイルを使用。12時15分厳しかった登攀も終わり、ついに前穂高岳(3090m)に立った。眺望は殆んど無かったが、私の気持ちは充実感と達成感で晴ればれとしていた。前穂高岳からは、紀美子平を経由せずに吊り尾根を忠実に辿り、途中から夏道に戻り14時46分奥穂高岳(3190m)、15時26分に穂高岳山荘に無事到着。穂高岳山荘では当初1枚のフトンに二人だったが、途中でキャンセルが出て、5000円追加で”こまくさ”に部屋変え。贅沢に1枚のフトンに1人だが、上の階の音がうるさく熟睡は出来なかった。 8月16日(土) 4時半起床、5時から朝食を済ませ、深いガスの中6時過ぎに穂高岳山荘を出るが、テラス横の長いハシゴの登りが順番待ち。順番待ちでは風は冷たく、雨具(上)を着ていて良かった。6時55分に奥穂高岳に到着、天候の回復の兆しがあり、目線の遠くに独特な山容をしたジャンダルムがガスの中から忽然と現れた。これからの厳しいルートを思えば身が引き締まる。・・・いくつものピークやヤセた尾根をFリーダーを先頭に進んでいく。ガレ場を登降したり、狭い岩棚でトラバースしたり、長い逆層のスラブ状岩壁を下ったりと一瞬たりとも気は抜けない。天狗のコルから先は浮石も多く、緊張の連続だった。11時55分に西穂高岳(2909m)に着いたときには、この厳しいルートも終わりに近づいた事を感じさせ、観光客の親子連れに笑顔の記念写真を撮ってもらった。 |
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○感想 四人それぞれに熱い思いがあり、今回の前穂北尾根のチャレンジと、奥穂高〜西穂高への縦走。8月15日の前穂北尾根では、5,6のコルからガスの切れ間うっすら見える5峰のリッジには思わず身震いもし、登攀を繰り返す途中から小雨と風に、はたして前穂まで辿り着けるのだろうかと内心不安にもなった。それでも5峰4峰と登攀を繰り返し、ときおりガスの切れ間、美しい涸沢カールの展望も垣間見ることが出来た。12時15分前穂高岳(3090m)の山頂に立った時は、思わず四人で互いに握手をして成功を祝したが、あの時の感動や達成感は一生忘れられないだろう。翌16日早朝も深いガスに包まれ、穂高岳山荘前の岩のテラスもびしょ濡れ状態だった。私はあまり気が進まなかったが、Fリーダーの決行と言う短い言葉に覚悟を決めた。二度と通りたくないと思っていた“馬の背”と呼ばれるやせた稜線はスリル満点で少し足が震えた。ジャンダルムの頂から見た槍ヶ岳も、砕石がびっしり詰まったような奥穂高岳の山容も8年前と全く同じだった。天狗のコルの下りを年配のご夫婦が平然と降りてきたり、若い方が20kgはあると思う大きな荷物を背負って、しかも一人で、この厳しいルートにチャレンジしている姿を見ると、感動と勇気を覚えるのは私だけではないでしょう。 |
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○最後に 2000年の夏初めての奥穂から西穂への縦走は、私なりにトレーニングはしていたが、今回2度目という事もあって、気持ちには少しは余裕があったが、情けないが体力には全く余裕がなかった・・・。しかし、それでも念願だった前穂北尾根と、ジャンダルムのトラバースが出来、またひとつ私の夢が叶った。ジャンダルムの基部のトラバースは、よく見ればホールドも足場もあって、移動距離も短くあっけないくらいに簡単でした。さらに前穂の北尾根も奥穂から西穂への縦走も、いずれも核心部の通過が午前中で、天も我々に味方したのか、アクシデントもなく運良く無事に通過する事が出来ました。判断に迷うような時にも、的確な判断を下し、常に安全への気遣いを忘れず、成功へと導いたFリーダー。信頼できる素晴らしい仲間と共に、全員一丸となって困難なルートに挑戦し、見事計画通り目的を達成する事が出来、夢と感動を共有出来たことに心からお礼申し上げます。 同行の三人に感謝! |
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