剣岳北方稜線山行報告

◇日 程  2002年8月10日(土)〜14日(水)

8月11日

 室堂から雷鳥平までは観光客に混じって歩く、雷鳥平より直登ルートで剣御前小屋到着 (10:55)、ガスで視界悪い、ここから剣御前への直登ルートを行く予定だったが、あいにくのガスと強い風のため下のルートを行く。剣山荘までは高山植物咲き乱れる快適なルートで、途中何度か雪渓をトラバースするが、アイゼンは要らない。剣山荘が見えるころになると、上部がガスに包まれた異様なまでの剣岳の垂壁の一部が目に飛び込んでくる、岩と雪の殿堂と言われるその全容は見えない。剣山荘に予定より早く到着(13:00)、夕方より、ときおり強く雨が降る。

8月12日

 剣山荘を早朝(4:00)に発ち、剣岳山頂までは一般ルートを登る。昨夜の雨の影響で岩を掴む手が滑る、カニのタテバイに到着(6:00)、視界ほとんどなし、その後も慎重に岩場を通過し、剣岳山頂に到着(6:40)。ガスで視界全く無し、カッパを着用する、前夜に作ってもらった弁当を食べる。休憩後、いよいよ北方稜線を行く、ここからはバリエーションルートだ、立入禁止の立札が身を引き締める。まず長次郎のコルへ下るが、岩場が少し悪い、次の池ノ谷尾根の頭から池ノ谷乗越までは、はっきりしない踏み跡、浮石に神経を集中して歩く、剣山頂から池ノ谷乗越まで、踏跡はほぼ長次郎雪渓側に付けられている。池ノ谷乗越からは、稜線を離れ、左に池ノ谷ガリーを下る。ガラ場の急峻な下りで、ガイドブックでは150mとあったが、もっと下ったように思える、このルート中で最も危険な下りだ。落石・転倒をしないように慎重に下り、右に僅かな踏み跡を辿り、三ノ窓に着く(9:50)、1パーティがテントを張っていた、池ノ谷側にテント場あり。三ノ窓からは池ノ谷を50mほど下って、右に小窓ノ王の岩壁基部沿いに斜めに登ると肩に出る。ここから枯れたハイマツ帯を下る、やがて道が二分するがここは右の道を行く、小さな尾根を乗越し小窓の一角に到着(11:35)、ガスが晴れ視界が一挙に広がり小窓雪渓が眼下に大きく展開する。小窓雪渓を下る為、アイゼンを付ける、クレパスは見えない、池ノ平へは小窓雪渓を200〜300mぐらい下ると、左岸の岩にペンキ印(大きな四つの○印)が見つかる。ペンキ印の所を登り、ここから池ノ平山をトラバースする、踏み跡ははっきりして可憐な草花を見ながら歩く。このあたりはクマザサの生えるダケカンバの樹林帯で、ほどなく池ノ平小屋が見えてくる(13:40)。池ノ平小屋は静かな雰囲気を持ち、素朴な感じがいい。ここから八つ峰など有名な岩峰群が望まれるが、あいにく今日はガスで上部は見えない。ここから剣を正面にして左手方向にしばらく登ると、仙人峠に出る、目の前に今日の宿仙人池ヒュッテが見えてくる。わずかに下り仙人池ヒュッテ到着(14:50)。仙人池から見える八つ峰を楽しみにしていたが、全く見えない(残念!)。仙人池ヒュッテも素朴な感じで、心のこもった夕食がとにかく美味い。剣山荘もそうだったが、ここ仙人池ヒュッテでも風呂(檜)があり、疲れも取れ心身ともにHOTした。

8月13日

 楽しみにしていた仙人池からの八つ峰だが、今日も見ることは出来なかった。未練を残しながら仙人池ヒュッテを後にする(6:00)。途中何度か雪渓をトラバースする。下方に大きなクレパスが不気味な口を開け、慎重に歩く、アイゼンは付けなかったが出来れば付けたほうが良い(ワンタッチが欲しかった)。仙人温泉(7:15)を過ぎ、阿曽原峠を越え阿曽原温泉小屋(9:25^9:45)を過ぎ、しばらくすると黒部川絶壁に付けられた水平歩道に出る、快適な歩道だがとにかく長〜い。途中何とかの滝に出(11:50)、木の間越しに欅平が見えてくる(12:42)がここからが遠い、岩壁をくり貫いたような箇所(12:51)も過ぎ、志合谷で150mのトンネルをくぐり(13:08ヘッドランプのみで可)、歩き疲れたころようやく欅平上部に到着、さらに下降に30分、やっと欅平到着(15:23)。予約していたトロッコ電車に乗る(18:01)、オープン車両のため途中からシャワーを浴びるサービスもあり、宇奈月温泉に到着(17:16)。ホテル渓仙にチェックイン。

8月14日

 予定どおり宇奈月温泉(9:18)発、防府(17:45)着、駅構内にて解散。

 

≪北方稜線を走破するにあたって≫

 1、出来る限り軽量化に努め(10kg以下)、ザックはコンパクトにする。

 2、剣山荘は出来る限り早発ちする(朝食は前夜に弁当にしてもらっておく)。

 3、アイゼンは6本爪以上が良い(出来れば軽量のワンタッチがベスト)。

 4、池ノ谷ガリーの下りは落石・転倒に注意して慎重に下る(先行Pがあれば、間隔を空けて)。

 5、ガスや雨のときは、ルートファインディングが非常に難しいから慎重な行動をする。

 6、夏山トレーニングは参加し、自主トレもしておく(岩場の上り下りが多く長時間行動になる)。

 7、トロッコ電車は必ず予約しておく(天気が良ければオープン車両がベストだが・・・)。

 8、トロッコ電車に間に合うように、仙人池ヒュッテは早めに出発する。

      (水平歩道が意外と時間がかかる)

 

◇コースタイム(参考)

8月11日(日)

    室堂 ・・・・ 雷鳥平 ・・・・ 剣御前小屋 ・・・・剣山荘

     8:20  9:00^9:15   10:55^11:42    13:00

8月12日(月)

    剣山荘・・・・・剣岳・・・・・池ノ谷乗越・・・・・三の窓・・・・・小窓・・・・・仙人池ヒュッテ

     4:00  6:40^7:00  9:20^9:25  9:50^9:55  11:35^11:45  14:50

8月13日(火)

    仙人池ヒュッテ・・・仙人温泉・・・阿曽原峠・・・志合谷出会・・・欅平ーーー宇奈月温泉

     6:00        7:15    9:25^9:45   13:23   15:23^16:01   17:16

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