2017年5月屋久島登山行記録
                    (防府山の会5月例会)

◇日  程  平成29531()64()
◇交通機関  レンタカー
◇会  費  参加費〇万円、民宿海星T;4,200(朝食付き)
◇集合場所  駅レンタカー 1500
参加者 5名(女性2名)
◇アプローチ
     <行き> 531() 駅レンタカー午後3時集合
          駅レンタカー(15:00)−防府西IC(15:10)−古賀SA(16:54)−宮原SA(18:55)−桜島SA(21:10)車中泊
          61()
          桜島SA(5:10)−鹿児島北IC(5:20)−本港南埠頭P(5:40)…鹿児島港(7:45)〜宮之浦港(9:45)
             −(大型タクシー)−安房港−ヤクスギランド−紀元杉(11:50)淀川登山口(12:00)
     <帰り> 64()

           宮之浦港(10:45)〜鹿児島港(12:35)−鹿児島北IC(13:44)−宮原SA(15:10~15:20)
               −古賀SA(17:03~17:15)−防府西IC(18:50)−駅レンタカー(19:00)
◇コース
     61() 淀川登山口淀川小屋花之江河石塚小屋(
      62() 石塚小屋花之江河黒味分れ宮之浦岳焼野三差路永田岳焼野三差路
           …平石展望台第一展望台新高塚小屋(泊)

      63() 新高塚小屋…高塚小屋…縄文杉…夫婦杉…ウイルソン株…大株歩道

               …楠川別れ…辻峠白谷小屋…白谷雲水峡−路線バス−宮之浦民宿「海星」(泊)
◇装 備
        ザック、寝袋、カップ、ナイフ、箸、コンパス、地図、ごみ袋、トイレットペーパー、

        ティッシュペーパー、携帯トイレ(現地購入)、着替え、雨具、傘、タオル、防寒着、帽子、
        手袋、ストック、カメラ(予備充電池)、スマホ(予備充電池)、食料(6食分)+行動食、
        共同装備:コッフェル・ガスコンロ×3人、個人装備:テント・マット・シート×3
◇山行報告
531() 晴れ
 駅レンタカーに午後3時集合、トヨタアイシスにて、防府西IC(15:10)〜古賀SA(16:54)〜宮原SA(18:55) と九州自動車道他を順調に走り、桜島SA(21:10着)にて車中泊となる。が、狭い車内とSAの街灯の明かり、それに出入りするトラックの騒音等で、皆さん満足な睡眠は出来なかったと思う。
61() 曇り
 
桜島SAを510分に出発、鹿児島北IC(5:20)〜鹿児島港南埠頭駐車場に540分に到着。フェリーターミナル内で軽い朝食を取り、鹿児島港発7:45の高速フェリー「ROCKET」に乗船、憧れの屋久島は宮之浦港に945に到着した。たまたま船着き場から遠く見上げた独特な稜線は、今思えば、永田岳(1,886m)だった。前もって予約していた、年期の入った大型タクシーに5人で乗り込む。途中スーパーで食料品及び朝食を摂り、民宿海星で着替え等を保管してもらい、近くの中川スポーツ店で携帯トイレを購入。安房(あんぼ)〜ヤクスギランド通過、途中、車道脇の紀元杉(11:50)に車を停めてもらった。車道から少し階段を降りて、初めて間近に巨木を見て、苔むした幹にいくつもの筋状の瘤に触り、何か強い生命力を感じた。ここで早くも、推定樹齢三千年と言われている紀元杉に畏敬の念を覚えた。淀川登山口(12:00)で運転手さんにお礼を言い、トイレと準備運動をして、いよいよ登山の開始だ。曇天に遠くは霞んでいるが、どうやら雨は降らないようだ。淀川登山口(12:25)淀川小屋(13:10)花之江河(15:10)石塚小屋(16:10)。他に宿泊者はいない、12階があり、広さ的には十分余裕がある。が、不覚にも飲酒の後、行動食兼酒のつまみをそのままにしていた為、深夜胸の上を這いまわる何かに怯え2階に避難した。後で聞けば、可愛いヤクシマネズミとのことだった。
62() 曇りのち晴れ
 昨夜は雨が降ったらしい、恐怖の一夜が明け、それでも、レトルトとスープで朝食を摂り、テントの中の携帯トイレ用ブースで済ませた。携帯トイレは使用方法を聞いたので、やってみれば意外と快適で簡単だった。石塚小屋(5:30)花之江河(6:20~6:30)黒味分れ(6:45)、と順調に歩を進め、宮之浦岳が見えてくる頃になると、ヤクシマシャクナゲが広大な笹(ヤクザサ)の斜面のあちこちに咲き誇っている。ヤクシマシャクナゲは赤い蕾が満開になると真っ白になるらしい。920憧れの宮之浦岳(1,936m)に到着、360度の素晴らしい大展望を満喫。山頂から眺めても、緑の笹の斜面に、様々な形の巨岩とピンクのシャクナゲが点々と咲き誇っている。下山途中の焼野三差路(10:00)に荷物をデポし、足取りも軽やかに永田岳へ向かう。永田岳は宮之浦岳から眺めていた時も、特徴的な岩山といった感じで、何だか登頂意欲の湧く山容をしている。1055分永田岳(1,886m)到着、山頂は巨岩だらけだが、ここも360度の大展望だ。小休憩の後、さらに軽やかな足取りで焼野三差路(11:57)に戻る。今度は重いザックを背負い、今夜の山小屋である新高塚小屋方面に歩を進める。周りの景色の素晴らしさに、ザックの重さを忘れるくらいだ。平石展望台(12:37)第一展望台(13:00)1447新高塚小屋到着。ここまでピンクのシャクナゲに目を奪われるが、幹の表面がつるっとしたヒメシャラの大木も多く見られた。新高塚小屋では、男性3名は広い木造デッキに各自テントを張ってテント泊、女性2名は小屋泊まり。新高塚小屋に到着した時は青空だったが、少々の酒を飲んでいる内に、あっと言う間に日が暮れ、それぞれ寝床に入った。
63() 晴れ
 新高塚小屋(5:53)1時間余り歩くと高塚小屋(6:55~7:00)、中を覗くと1階と2階があり
かなり狭い。さらに歩くこと僅か、710縄文杉到着。デッキの説明板には、樹高25.3m胸高周囲16.4mとある。最近になって、正面デッキの右手さらに高い場所に展望デッキが出来ていて、そこからも違った角度から縄文杉が眺められた。確かに紀元杉に比べれば、格段に大きいが、遠くから眺めるせいか、その大きさがどうもピンとこない。縄文杉には大変失礼だが、今日はあまりに天気がよく日差しが当たっているせいか、何だか神秘的な神々しさみたいなものが逆に感じられない。それでも、悠久の時を遥かに超えて生きてきた縄文杉の、ぼこぼこした木肌は遠くから見ても風格が感じられた。隣で地元のガイドさんが、縄文杉について説明をしておられ、知らない事ばかりで新たな情報だった。ここまで維持してきたのに、多くの試行錯誤があったのだろう。
 
732分出発、夫婦杉(8:04)…ウイルソン(8:50~9:00)、ウイルソン株では、切り株の祠に入り、見上げればハートに見える所から写真を撮るのが、広く知れ渡っているらしく、順番待ちだった。縄文杉からここまでは多くの観光客とすれ違い、ここでも若い観光客が写真の撮影に夢中だ。
 少し下れば大株歩道入口
(9:32~9:42)、ここからは、ほぼ水平のトロッコ軌道を歩くが、ここから縄文杉方面に登って行く観光客が多い。軌道途中に仁王杉や三代杉などがあるが、単調なので思いのほか疲れた。楠川別れ(11:14)、ここから辻峠までの約1時間が最後の登りになる。喘ぎながらも辻峠(12:08)、展望が良いらしい太鼓岩が、往復で30分だが、白谷雲水峡で帰りのバス時間があるので、太鼓岩は省略。白谷小屋までの下りの途中に「もののけの森」がある、1997年公開のジブリ映画『もののけ姫』で、シシ神やコダマがいる森のモデルとされた森、木々や岩が苔に覆われ、神秘的な雰囲気を感じさせる筈なのだが、木漏れ日は明るく、覆われている苔は乾いていて、残念ながら神秘的な雰囲気は感じなかった。観光客にすれ違うと、感動に満ちた3日間の屋久島縦走も終わりに近づき、午後2白谷雲水峡に無事到着した。
 路線バス
(14:15)に乗車し、宮之浦民宿「海星T」近くのバス停「登上(のぼりあがり)」で下車したのが午後250分。チェックインには少し早いが、気持ちよくおかみさんが出迎えてくれた。早速シャワーを浴び、夕食はすぐ近くの「潮騒」へ、何だか有名人のサイン入り色紙が、たくさん掛かっていたのは覚えている。後はよく覚えていないが、久しぶりに、美味いものをたらふく食べ、そして飲んだ。
64() 晴れ
 宮之浦港(10:45)〜鹿児島港(12:35)、来る時は桜島の山頂付近が雲に隠れて見られなかったが、何と桜島がその山容を見せてくれた。トヨタアイシスに乗り込み、鹿児島市内の某豚とろラーメン店で昼食。これも実に美味かったし、駐車料金が30分以内で100円これは安い。気分も良く、鹿児島北IC(13:44)〜宮原SA(15:10)〜古賀SA(17:03)〜防府西IC(18:50)〜駅レンタカー(19:00)に無事到着、解散。

◇感想
 無人小屋は、どこの小屋も夜間にヤクシマネズミが出没する為、食料は吊るすか、きちんとパック(レジ袋はだめ)した方が良い。尚、体力に少し自信があれば、重くはなるがぜひテント泊をお勧めしたい。新高塚小屋の木造テラスはテントを張るには申し分ない。ただ、この小屋のすぐ近くにある水場は、暫く雨が降らなかったせいか、ホースから流れ出る水は極細の為、ペットボトルへの水入れには時間がかかった。また、小屋近くの水は煮沸することをお勧めしたい。さらに、昨夜の石塚小屋は我々5名だけだったが、新高塚小屋は満員になったらしく、しかもヤクシマネズミの運動会の音や、マナーの悪い登山者が多かったとのこと。
 民宿「海星T」は宿泊料が格安、部屋も朝食も、美人おかみのおもてなしの心がとても良かった。
 悠久の時を遥かに超えて生き続けている屋久杉の、苔むした幹に筋状の瘤に感動とパワーをもらい、宮之浦岳から永田岳にかけて咲き誇る満開のシャクナゲ群には、これが屋久島かとほんとうに圧倒され感動した。また、周到な計画とチームワークの良さ、そして何よりも3日間天候に恵まれ、さらに、当初の予定には無かった永田岳にも登頂できた。前回雨の為何も見えなかった方は今回リベンジが出来、一度は訪れてみたかった憧れの屋久島を縦走し、心の底から堪能した3日間だった。
 贅沢を言えば、明るく輝く縄文杉よりも、水気の無くなった苔よりも、霧の中で神秘的な縄文杉や水滴のしたたり落ちる苔類も見たかった。(いやいや、雨具を着て重いザック背負って歩くのも本当につらいか)
 苦労して計画を立案されたYリーダー、車の手配に宿の手配、高速道路利用(行きは深夜割引を、帰りは休日割引を利用する)他、心憎いまでの計画だった。照葉樹林帯から屋久杉帯、風衝低木林帯と、屋久島の魅力を十二分に満喫できる最高のコースと思う。
この縦走コースに、ぜひチャレンジしていただきたい。最後に同行の4人の方には感謝の言葉しかない。

◇その他
     ・民宿「海星T」朝食付きで4,200(税込)、宮之浦港から歩いても1015分くらい。

                  TEL 0997-42-2145 (鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦378-3)
     ・トイレは適時あるものの、携帯トイレ持参が必須。それに携帯トイレ用ブースが随所に設置してあり、
      清潔で快適に利用できるのでお勧め。白谷雲水峡に回収ボックスあり。

     ・62日、宮之浦岳に登る途中ヤクシカの親子に出会った、しかも小鹿が足元にまで寄ってきて、ほんとうに可愛かった。
      普段見ている鹿よりもかなり小さく、人間を恐れないようだった。

     ・何と言ってもシャクナゲが華麗豪華だったが、サクラツツジも薄いピンクで綺麗だった。
     ・屋久島の樹木は、巨岩を抱えたり、巨岩の上に根を張ったり、雑多な木達が互いに着生し、
       曲がりくねっている様子に、さらに登山道にも、大小の根がむき出しに絡み合っていて、私は生命力の強さに圧倒された。
     ・安房〜淀川登山口に至る途中にある紀元杉は、必ず立ち寄っていただきたい。
      縄文杉に勝るとも劣らない屋久杉で、しかも
筋状の瘤に直接触ることが出来る唯一の屋久杉らしい。