剱岳八ッ峰登山報告書
(防府山の会8月例会)

◇日程    2013814日()18日()

◇山行形態  室堂から剣沢をへて真砂沢ロッジベースの八ツ峰、剣岳への小屋泊登山

◇交通機関  マイカー(F氏)

会費    約万円

◇参加者   FTL)、MI(会計)、YTUN(記録)

◇アプローチ

  《行き》 8/1415  集合;市役所 19:15

  市役所‐‐‐防府東IC‐‐‐小谷SA‐‐‐竜野西SA‐‐‐多賀SA‐‐‐
  19:30        19:40         21:20^21:30   23:30^23:40     1:50^2:10

  ‐米原JCT‐‐‐徳光PA‐‐立山IC‐‐‐立山====美女平====室堂
             4:00^4:20       5:05     5:306:20    6:507:10      8:00

  《帰り》 8/18

   雷鳥荘・・・・室堂===美女平====立山‐‐‐立山IC‐‐女形谷PA
   9:30   10:0510:10 10:5010:20  12:15    12:45  14:2014:30

  ‐‐‐多賀SA‐‐‐‐竜野西SA‐‐‐小谷SA‐‐‐防府IC‐‐‐市役所
    16:0016:20  18:3018:40  20:4020:50  22:57     22:40 

◇コース

 8/15 室堂・・・雷鳥平・・・・剣御前小屋・・・・剣沢小屋・・・真砂沢ロッジ(泊)
     8:30    9:45    10:45^11:30     12:10     14:35

 8/16 真砂沢ロッジ・・・1,2峰間ルンゼ取付・・・1.2のコル・・・・2
     5:00         6:30         8:37     9:30 

・・・3峰・・・4峰・・・5峰・・5.6のコル・・・真砂沢ロッジ(泊)
   10:30   10:43  12:00  15:00       16:00

 8/17 真砂沢ロッジ・・・5,6のコル・・・6峰・・・八ッ峰ノ頭・・・池ノ谷乗越
     4:15        7:00      8:30     11:30      12:30

・・・剣岳・・・剣山荘(泊)
        14:30   17:25

◇個人装備  長袖シャツ(ウール) Tシャツ ズボン(ウール,化繊) 着替え ソックス(予備) 帽子

       セーター(薄手) 登山靴 ザック(カバー) スタッフバッグ ビニール袋 カッパ 傘

ヘッドランプ(予備電池,) 洗面用具 ベルトポーチ 水筒 地図 コンパス カメラ

       ハーネス ヘルメット シュリンゲ(2) 8環 カラビナ(2)

ランニングビレイ2本 軽アイゼン(6本爪以上) 保険証写し

行動食(,3食) 手袋 スパッツ

◇共同装備  9mmザイル2(FTYT)、ピッケル(MI)、救急薬(UN)

◇宿泊小屋  真砂沢ロッジ п@090-5686-0100 、剣山荘 п@090-8967-9116

◇山行報告
 815日(木)
 立山駅発065便(6:50発)立山ケーブルカーで美女平駅、さらに高原バスに乗り室堂平へ。雷鳥荘に着替えを預け、雷鳥沢を登り剱御前小屋で昼食。剣沢小屋を過ぎ、剱沢雪渓でアイゼンを装着したと思ったら雨が降り出した。午後2時半真砂沢ロッジに到着。浴槽にお湯が一杯張ってあり、そのお湯を被って汗を流すのが気持ち良い。
 816日(金)八ッ峰下半(TU峰間ルンゼ〜X峰まで)
 4時半起床5時出発、朝食は弁当にしてもらう。長次郎谷出合いから長次郎雪渓を30分ほど登って行くと、右側にIU峰間ルンゼ(岩壁などにできた急峻な岩溝)が見えてくる。この出合いの右岸壁基部に大きな岩小屋があり、ここで朝食を摂る。ハーネス等の身支度を手早くし、まず巨大な雪渓を潜り、時には草付のあるルンゼを快適に登攀すると、約1時間でIU峰間のコルに出る。
 IU峰間のコルから右手は、ハイマツと細い岩屋根を辿るとI 峰の登りとなるが、時間の関係で割愛することになった。U峰への登りは快適なスカイライン、右はハイマツ等のブッシュ帯で深く切れ落ちている。このコルで支点を取りFLが先頭で登る、FLが上で確保した後、MさんYさんの順番で登っていく、単独登山者を途中でかわしU峰のピークへ。次はV峰の登り、稜線はハイマツ帯で右斜面は切れ落ち、左斜面が長次郎側に傾く広い岩稜となり、正面稜線通しのハイマツ帯を登るとV峰のピーク、剣剱と熊の岩が眼前に見える。
 その後数回の懸垂下降と登攀を繰り返す。快晴に恵まれ、稜線の各ピークから見える展望は素晴らしく、長次郎雪渓の遥か上空の剱岳主峰が少しずつ近くなっていくが、まだまだ遠い。疲れもピークになった午後3時ようやくXYのコルに降り立ち、長次郎雪渓を下り午後4真砂沢ロッジに到着
817日(土)八ッ峰上半(XYのコル〜八ッ峰ノ頭〜剱岳本峰〜剣山荘まで)
 4時過ぎヘッドライトを付けて真砂沢ロッジを出発。XYのコルに着いたのが7時。Y峰への登りは見た目程には難しくはなく、右手側の岩場を数m登りつめた所をさらに右に慎重にトラバース。緩傾斜の草付き斜面を息を切らせながら登ると約1時間でピークに着く、どのピークからも素晴らしい展望が望める。狭い凹角を少し下って小さなピークに登り、支点をとりダブルザイルで結構長い懸垂下降。コルから赤茶色の脆い岩場を慎重に登攀すると、狭いY峰のピークに着く。Z[峰を望みながら先行パーティのZ峰取付地点を確認したつもりだったが・・・。Y峰を懸垂下降して右にトラバースの道を進み、Z峰への取付地点を探すが見つからず、結局トラバースの突き当たり左の急なルンゼを登攀することになった。多少苦労して詰めるとZ[の狭いコルに出た。正面は長次郎雪渓の上端、狭いコル左の岩に支点を取り、FLが先行し上で確保、Mさん、Yさんと登り、最後は私。少し緊張しながら下り右に垂直に登り、その後はYさんの声にリードされ、息を切らせながら登ると八ッ峰ノ頭に出た。ここで大休止。八ツ峰ノ頭から振り返ると、ようやくここまで来たなと感激が湧いてきた。さらに八ッ峰ノ頭から、池ノ谷乗越の正面を見上げると脆そうな急斜面、ここを登ったところが長次郎の頭、さらに剱岳本峰へと続く。こうしている間にも急斜面を何人かの登山者が降りてくるのが見えた。
 池ノ谷乗越へは池ノ谷側をまくように落石に注意しながら懸垂下降するが、脆い斜面は足を置くたびに落石を誘発しラクッ!の声が響き渡る。この八ッ峰の頭から池ノ谷ガリーへの懸垂下降で多少時間がかかった。八ッ峰の頭から投げ下ろした50mのダブルザイルでFLが降下したが着地点まで届かず、一旦3人で途中の棚まで下降その場で支点を探し、Yさんが近くのハイマツの根元に捨て縄を取り付け、無事に池ノ谷まで降りることが出来た。さらにその後、ザイルを引き抜く際に、途中で引っかかったらしく抜けなくなった。ザイルが回収出来ないと、この先の登攀が不可能になる。FLが立ち位置を変えながら、何度も上下に大きくザイルを振り、運よく外れて落ちてきた時は、全員心からほっとしたと思う。池ノ谷乗越で小休憩後北方稜線を逆に辿る、私は微かに記憶のある景色を思い出しながら、慎重に何度も登下降を繰り返した。
 午後2時半剱岳山頂に到着。全員無事に山頂に立てた感激もつかの間、下山の時間を想定すると、今夜の宿泊予定の雷鳥荘までは明るいうちには行けそうもない。まさか、剱岳山頂でスマートフォンが役に立つとは思わなかった。雷鳥荘の宿泊をキャンセルし、(キャンセル料無料は嬉しい)剣御前小屋に電話したが満員、次に剣山荘に電話、思ってもいなかったが急遽泊まれることになった。
 前剱〜一服剱と下り、長かった1日がようやく終わりになる、午後5時半全員無事に剣山荘に到着した。小屋入り口前で成功を祝って4人で握手を交わし、心から安堵を覚えた。平成17年に建て替えられ以前の山小屋とは全く様相が一変した剣山荘。我々が泊まった部屋の名前が、何と「八ッ峰」と言うのも何だか運命的な感じがした。
818日(日)
 剣山荘を出発し、雷鳥荘で着替えを受け取り、まだお湯を張りつつある風呂場に直行。

◇個人的な反省
 私は可能な限り軽量化を図ろうと、ピッケルもストックも持参しなかったが、長次郎雪渓の急な登りでは、滑落したら止めることが出来ないなと不安を覚えた。恥ずかしながら、二日目の八ッ峰上半の際には、Mさんからピッケルを借用(Mさんはストックも持参)、お蔭で雪渓では安心して登ることが出来心からお礼を言いたい。ピッケル(又はストック)は必携、またアイゼンは12本爪がより安心と思う。

◇感謝
 20128月集合場所の市役所に剱岳八ッ峰組5人集合、相談の結果台風接近の為中止となったが、今回(私は)3度目の挑戦で運よく天候にも恵まれ、初日は2峰(1峰は割愛)から5峰まで、2日目は6峰から八ッ峰の頭、さらに北方稜線を辿り剱岳の山頂へ立つことが出来た。
 これまでの山登りのなかで最高にハードだったが、登攀中各峰のトップから広大な長次郎雪渓の遥か高見に仰ぐ剱岳の圧倒的なスケールの大きさに、これまでにない最高の感動を覚えた。Yさんは今回の山行の為にヘルメットに小型ビデオカメラを装着、最後まで元気一杯だった。後日、迫真のDVDが送られてきたのも特筆すべきこと。また、登攀中の小休憩時、Mさんの息が荒かったことも印象に残っている、後で聞けば、体調が最悪だったとのこと。私も長次郎雪渓の登りでは遅れをとってしまった。それでも4人全員無事に目的を達成出来たことがとても嬉しい。
 反省すべきことも多々あるが、陶ヶ岳のトレーニングの成果と4人のチームワークが良かったこと。そして、何よりもリーダーの的確な判断と叱咤激励、さらに運も味方にしたことで、私は昨年諦めた夢がまた一つ叶った。この紙面を借りて同行の皆さんには心から感謝を申し上げたい。
 参考資料:山と渓谷社のアドバンス山岳ガイド「剱岳八ッ峰」、JCC魚津岳友会